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青田 洋一 先生

側弯症/脊柱変形の名医
掲載開始日:2018年08月23日
最終更新日:2019年09月17日

臨床実績


年間側弯症手術数
***

専門医資格
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学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
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略歴
***

受診しやすさ


手術までの待機期間
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医師指定受診
***

外来待ち時間
*** 時間程度

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青田 洋一先生のインタビュー

公開日:2019年05月23日
原因のわからない腰痛。もしかすると殿皮神経障害による腰痛の可能性も?腰痛治療の先駆者である青田先生にお話を伺いました!

青田先生は整形外科の中でも脊椎をご専門とされて、新しい腰痛の概念を提唱されたと伺いました。これまでのご経緯について教えていただけますか?

医学部を卒業後、横浜市立大学で研修をしました。研修では様々な診療科を経験する過程で外科に興味を抱き、なかでも整形外科は治療効果がわかりやすいこと、手術による反応の大きさに面白みを感じたことから整形外科を専門とすることにしました。

整形外科は膝や手など専門が分かれますが、私は脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどの脊椎疾患を専門としてきました。以前は腰痛は2割ほどしか痛みの原因が判明しないといわれており、実際に診療の中で改善されにくい腰痛というものも多く、私自身も原因がはっきりしない腰痛が多いことを実感していました。そのため、従来、腰痛の原因と考えられている概念の他にも腰痛を引き起こしている原因があるのではないか、そうした原因がわかれば痛みを和らげることもできるのではないかと考え研究をしてきました。その結果、腰痛を引き起こす要因として殿皮神経の絞め付けによる神経障害があることをつきとめました。

殿皮神経研究のいとぐちについて教えていただけますか?

腰痛がある場合、MRI撮影など様々な方法が腰部の状態を確認する検査として行われてきました。しかし、従来のMRI撮影では脊柱管狭窄症などのような背骨や脊柱管など比較的大きい構造を把握することは可能ですが、神経の枝といった微細な構造までは調べることが困難でした。

そうしたところ、約10年程前、川崎市内の病院に勤務していた頃に、たまたま放射線科の医師でMRI撮影を研究している先生と出会い、MRミエログラフィーという神経根や神経の枝の走行といった神経の詳細までを評価する方法を知りました。その先生のご指導で腰部MRミエログラフィーを国内で初めて導入し、従来では確認が困難であった腰椎の外側での狭窄(椎間孔狭窄)が把握できるようになりました。当時はこの検査ができる医療機関は限られていましたが、現在では一般的な撮像法になっています。

こうした脊椎の最も外側での神経の絞扼を手術治療する中で、脊椎よりはるかに外側にも神経を絞扼する病態があることがわかってきました。

殿皮神経障害とは具体的にどのような病態か教えていただけますか?

まず、神経には背骨の中を通るものと、そこから枝分かれし背骨の外を走るものがあります。背骨から外に向かう神経の一つにお尻の皮膚に向かう上殿皮神経という神経があります。この神経はお尻の方に向かう途中で腸骨という骨盤の骨を乗り越えていくのですが、その付近にトンネルのような部分があります。このトンネルのような部分を通る時に神経が絞め付けられてしまうことがあり、それが腰痛の原因となると以前にも海外の論文で報告されていました。その論文では、この上殿皮神経障害は稀な病気であると書かれていましたが、実際には私の外来では1割以上の患者さんでこの病気があり、稀なものではありませんでした。これは脊柱管狭窄症よりは少ないのですが、腰椎椎間板ヘルニアより頻度が高いということになりますし、潜在的にかなり多くの患者さんがこの病気の可能性があると感じています。

そのような状態を多く経験し、解剖学的な知見からも研究を進めました。そして、絞め付けられている上殿皮神経は従来1本であると報告されていたのですが、複数あることがわかりました。この他にも、この上殿皮神経障害は腰痛の原因だけでなく、足の痺れや歩きにくさなどの原因にもなることがわかりました。高齢者では、足の痺れと言われると整形外科医は従来から原因が解明されている脊柱管狭窄症を疑います。そうして画像検査で狭窄を確認すると手術をしようとなります。しかし、手術後も症状が改善されない場合あり、それらの原因の一つとして、この上殿皮神経の締めつけがあった可能性があるのです。

また臀部の下よりの痛みの原因には仙腸関節障害と呼ばれる病態があり、ブロック注射で症状が有効です。仙腸関節の浅いところには中殿皮神経があり、この神経も仙腸関節を構成する靭帯を貫通する部位での締め付けられることがあります。この中殿皮神経というのは、お尻の靭帯の下を潜り、お尻の下のほうに抜ける神経なのですが、上殿皮神経絞扼よりも中殿皮神経絞扼の方が多いのかもしれないとも思っています。仙腸関節付近のトリガーポイント注射が有効な場合には、中殿皮神経の絞扼であることもあり、上殿皮神経と同様に手術の対象となります。中には両方の神経が絞め付けられておられる方もいらっしゃいます。

外来診療では特定の部位、上殿皮神経障害が起きやすい部位を押して、痛みが感じられる場合に上殿皮神経障害を疑います(図 圧痛点)。

これらの腰痛の病態説明や治療は、これまでの腰痛診療の教科書的概念にはなかったものですので、本当にそのような病態が存在するのか、治療が有効なのか、と疑問を持たれることも多くありました。私自身も、これまで稀な病気と考えられ、注目もされていなかったものでしたから、本当に殿皮神経障害が歩行困難を呈するまで重症化することがあるのかと疑問に思うこともありました。しかし、これまでの研究と手術経験から今ではこの病態に確信を持っています。

殿皮神経障害では具体的にどのような治療が行われますか?

症状や経過、画像検査を確認し、外来でブロック注射などを行います。ブロック注射で症状が軽快されることが特徴でもありますが、重症の方の場合、効果は一時的で、繰り返してブロックしても効果が限定的です。その際には殿皮神経の絞め付けを解除するための手術について検討します。

私たちの研究で絞め付けられている神経が複数ある可能性があるとわかったので、実際の手術では神経を探すことに時間をかけ、1本の神経を探索することに1時間、場合によってはそれ以上かけて、絞扼を見落とさないようにします。これまで10年程この手術を行ってきましたが、これまでの経験から殿皮神経障害は発症後1年ほどであれば、手術によって腰痛や足の痺れなどの症状がとてもよく治ると感じています。しかし、強い腰痛や足の痺れなどが10年以上続いているような場合、神経の圧迫を解除しても部分的にしか治らないこともわかってきました。またブロックの効果が3日以上持続しない場合も手術成績は不良です。神経が傷み過ぎる前に手術をするべきと考えています。

現在具体的にどのような患者さんが受診されておられるのでしょうか?

全国からだけでなく海外からも、酷い腰痛に悩まされ、手術を行っても症状が軽減せず、なす術がないと紹介されてくる方がいらっしゃいます。アスリートの方もいらっしゃいますし、職業もご年齢も幅広くいらっしゃいますね。

この新しい腰痛を提唱して10年近くなるのですが、ここ5年程で手術をしてくださる先生が増えてはいます。現在は殿皮神経障害の手術を行っている医療機関が全国に数施設あります。整形外科以外にも神経や脳脊椎を専門とする脳神経外科で行っておられる場合もあります。しかし、多くは上殿皮神経の手術を行っておられ、中殿皮神経の手術も行う施設はまだ限られている現状かと思います。

青田先生の今後の展望についてご教示いただけますか

当院には2019年4月に着任してきたばかりですので、今後は手術室の体制を整えつつ、広く腰痛に悩んでいる患者さんに治療ができるようにしていきたいですね。殿皮神経障害による腰痛やその治療方法についても、普及していきたいと思います。

編集後記 “今回の取材では実際に治療を受けられた患者さんの声を聞かせていただけました”

今回の取材では実際に手術を受けられた患者さんにもお話を聞かせていただくことができました。

ある男性は、もともと卓球やバトミントンなど様々なスポーツを楽しまれ、インストラクターもされるほどの方でしたが、約8年程前に腰痛が生じ、次第にスポーツどころか歩行さえも辛くなるような痛みに襲われるようになったそうです。最初は原因として椎間板ヘルニアが疑われ、手術も受けましたが、症状は軽減しませんでした。述べ3回も手術を受けましたが、それでも症状は改善しないため、青田先生のもとを紹介されました。青田先生のもとでは最初、神経ブロックを行い腰痛の軽減を確認しましたが、その後腰痛が再燃することから、手術を受けられました。取材をさせていただいた日は、手術後8日目ということで手術そのものによる痛みはありましたが、これまでの歩行に影響をきたすような酷い腰痛は軽減されていると笑顔で話されていました。「今後はスポーツに復帰とはいかないまでも、痛みを感じず普通に歩くことのできる幸せを実感し、これまで支えてくれた妻と旅行に行きたい」と笑顔で話されていたことが、とても印象的でした。

別の女性は、10年程前から腰痛や体の不調を実感され、3年前にある日突然、立つことさえ辛いほどの激痛が腰に走ったと仰ってました。酷い腰痛で整形外科を受診したのですがMRIやCTでは異常を指摘されず、鎮痛剤を内服しながら様々な腰痛軽減方法を試しておられました。しかし、腰痛は治らず、バス停で待つこともままならなくなり、通勤や就労、日常生活に大きく支障を来していました。腰痛の原因が特定できないことから、医療従事者や周囲からも理解を得られず、心療内科を勧められ、心苦しい想いから涙を流したこともあったと話されていました。そうしたなか、テレビ番組で殿皮神経障害では腰の特定の部位を押すと痛みを生じる可能性があると知り、自身にも当てはまることから整形外科の主治医に相談したとのことでした。そうしてどうにか、青田先生のもとを訪れ、手術を受けるに至ったとのことでした。これまで、腰痛や足のつっぱりから背筋を伸ばして歩くことも難しかったとのことでしたが、術後にはそれも可能となり、眩しい笑顔で「これからは歩いて旅行に行きたい」と話されていました。これまで腰痛の原因がわからないことや、殿皮神経障害について専門とする医師が少なことで辛い思いをされたため、もっと広く殿皮神経障害による腰痛の概念が普及してほしいと仰っていました。

お二方とも腰痛治療や腰痛のために日常生活でもお悩みになった期間が長かったとのことですが、取材時には今回の治療効果について笑顔でお話いただけたことがとても印象的でした。お二方には、この場をおかりして、取材をお受けいただきましたことに心より御礼を申し上げさせていただきます。

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