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小川 節郎 先生

慢性疼痛(腰痛など)の名医
東京八重洲クリニック
ペインクリニック内科 医師
掲載開始日:2019年05月20日
最終更新日:2022年12月20日

臨床実績


月間慢性疼痛外来患者数
***

専門医資格
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学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
***

略歴
***

受診しやすさ


初診までの待機期間
***

医師指定受診
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外来待ち時間
15分程度

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小川 節郎先生のインタビュー

公開日:2019年07月31日
痛み止めだけが治療じゃない、痛みを受容し向き合うことも慢性疼痛への理解の第一歩

小川先生が医師を志されたきっかけを教えてください

私の父は東京の下町で外科医として開業していました。小さい医院でしたが、虫垂炎や痔、ヘルニアなどの手術も行っており、手術着や手術で使うメスなどが身近にあり子供心に格好いいと思っていました。そういった環境にあったので、何の迷いもなく医者になるものだと思っていました。

医師になられた後はどのような経緯で麻酔科医への道へ進まれたのですか

最初は心臓の機能に興味があったので日本大学医学部を卒業後は、大学の循環器内科に入局しました。循環器内科では心筋梗塞などで患者さんの状態が急変したり、時には亡くなったりします。当時は尊厳死などの概念もまだなく、とにかく蘇生させなければ、生かさなくてはという時代でした。そのため、入局後の研修では、ローテーションとして数か月、自分の好きな診療科で研修を受けられる仕組みを利用して、蘇生術や気管内挿管を学ぶために麻酔科へ研修に行きました。

麻酔科では手術の際の麻酔について学びましたが、血圧や脈拍、呼吸状態の管理、麻酔から覚める時の苦痛の軽減などは麻酔のかけかたによって上手くいくこともあれば、そうでない時もあるのだと実感しました。そうして麻酔をかけることに面白さを感じ、麻酔科の魅力に取り憑かれてしまいました。
私の性格的にも内科医として診療する中で血液検査の結果などを待っていることが合っていなかったとも思いますし、麻酔科は仕事のスケジュールが割と明確であることも性に合っていたと思います。そのため、2年間の研修を終えた後に麻酔科へ方向転換しました。

先生が慢性疼痛と関わるようになった経緯について教えてください

当時私が働いていた日本大学は国内で7番目にペインクリニックを設立した医療機関であり、疼痛コントロールの領域にも力を入れていました。そのため、私も麻酔科に入局すると必然的にペインクリニックにも関わるようになりました。最初は手術の麻酔がメインで、ペインクリニックはあくまで業務の一部と言った形でしたが、徐々にペインクリニックでの業務の割合が大きくなっていきました。

当時のペインクリニックは、がんの患者さんの疼痛緩和を目的とした治療が多かったです。慢性疼痛の患者さんに焦点が当たるようになったのは10~15年前からです。当時は神経ブロックを行なっても痛みが改善されない患者さんは気のせいと言われていました。しかし、ペインクリニック学会として、こういった患者さんにも焦点を当てていこうという流れが徐々に起こり、慢性疼痛の患者さんを見る機会が増えてきました。

慢性疼痛の治療はどのような流れになるのでしょうか

一口に慢性疼痛と言っても、背景に身体的な疾患があり痛みが改善しないという方と心理社会的要因から痛みを起こしている方がいらっしゃいます。患者さんは圧倒的に女性が多く、年齢としては20〜40代の方が多いです。
受診される患者さんの中には強い薬を希望される方も多いのですが、強い薬が必ずしも良いというわけではありませんし、痛みの種類によって有効な薬は異なります。例えば、抗うつ薬には神経の痛みを取る作用があるため、神経性の痛みの場合、鎮痛薬ではなく、抗うつ薬を処方することもあります。また、疼痛によって睡眠が阻害されていれば睡眠薬を処方することもあります。こういった薬を処方する際には、こちらの思惑が十分に伝わっておらず、勘違いをされてしまうこともあるので、説明はしっかりと行うようにしています。

神経ブロックなどの治療も原因となっている疾患によって有効でない場合もありますので、全ての患者さんに適応となる訳ではありません。ですので、痛みの原因や質を聞き、その痛みに適した治療法を判断していきます。

患者さんご自身で疼痛を和らげるために何かできることはございますか?

慢性的な腰痛、膝の痛み、頭痛などに関しては、最近では運動が良い影響を与えるということが科学的に証明されてきました。関節炎などの明らかな疾患が背景にある場合は別ですが、痛みがあるからといって過度に動かないようにしてしまうと、筋肉の凝りや関節の拘縮が進み、更に痛みが強くなるといった悪循環に陥ります。
運動によって、脳の中の痛みを和らげる作用が促進されると言われており、軽い運動は慢性の痛みを改善することがあります。特にリズミカルな運動や上下運動が良いようで、音楽に乗ってダンスをすることなどが良いとされています。

運動強度の目安は疲れない程度ですが、運動の習慣がない場合には、まずは歩くことから初めてみるようにお伝えしています。理想は1日8,000歩ですが、最低でも4,000歩、それでも難しければ2,000歩からでも始めていきます。それでも習慣化することが難しいこともあるので、趣味をお聞きし、座ったままでも出来る体操など出来る範囲で始められるよう提案をしていきます。

心理社会的要因から慢性疼痛でお悩みの方の場合、どのような治療をされるのでしょうか

心理社会的要因から痛みを訴えている方の中には、家庭に何らかの問題を抱えている方も多いです。そういった方の場合、ストレスの原因を取り除かないと疼痛が改善しないことも多いです。家庭、生活環境に問題があるのであれば、そのような環境から距離を置くことが必要となることもあります。
また、時には臨床心理士の方や精神科の先生との共働が必要なこともあります。日本大学医学部附属板橋病院にはそう言った状況にも対応できる体制がありますので、必要な場合にはご紹介します。大学病院では、看護師がまず患者さんのバックグラウンドについて話を聞き、その後、精神科の先生や薬剤師の方々がお話を聞いていきます。背景に整形外科的な疾患がある方の場合、整形外科の先生も交えて患者さんを診察し、疼痛に関してはペインクリニックの医師が総合的に判断をしていくという形をとっています。

日本ではこう言った形で慢性疼痛の治療を行っている施設はまだまだ少ないです。自治体として取り組んでいる施設も出てきていますが、こういった施設には是非、取り組み続けて欲しいと思います。
ご自分の気持ちに整理がつくことで、痛みと向き合えるようになる人もいますが、受容の過程は様々ですので、時が経つことが重要となる場合もあります。また、ご自身の気の持ちようだけでなく、その人を取りまく環境も大切です。家族から心配されることがプレッシャーとなってしまう方もいますし、逆に心配されることが支えになる方もいらっしゃいます。

お子さんの場合、診察中にお母さんがお子さんの発言を遮ってしまうなど、家族の関与が問題となることもあります。そうした場合には、お母さんに退席してもらい、お子さんと話すようにしています。ご両親へは、子供を一人前として扱い、訴えをよく聞いて、高圧的な態度を取らないようお伝えしています。お子さんの慢性疼痛の場合は家族の対応の変化で治ることも多いですね。

先生が診療の際に心がけていることを教えていただけますか?

最初の問診を何よりも大事にしていますし、診察時には受容的・共感的態度で話を聞くように心がけています。人によってはお話することで楽になる方もいらっしゃいます。特に心理社会的要因から痛みを感じている方の場、時間をかけて徐々に家族の問題や人間関係に踏み込んでいくこともあり、お話すること自体が大切な治療だと考えています。
また、身体診察も重要だと思っています。痛みを聞き、レントゲン一枚撮って問題ありません、と言うだけでは患者さんは納得できません。患者さんが痛がっているところに触れ、そこから障害されている神経や凝りなどが分かることもあります。痛いところに触れ、痛みの原因を探る。基本的なことですがこれが結構大切だと思っています。

最後にメッセージをお願いします

こちらのクリニックでは私のできる範囲であれば、痛みに対して何でも対応いたします。対応できない場合や別の治療法が必要な時は、きちんと説明した上で他院に紹介します。
傷は治っても痛みが取れないという方の中には心理社会的要因が原因となっていることもあります。心理社会的要因が痛みを引き起こすこともあるということを医療者はもちろん、患者さんや周囲の方にも理解していただけたら良いなと思います。

特に若い人に多いのですが、心理社会的要因が背景にある方の中には視野が狭まっていることも多く、勿体無いなと思います。例えば、家族関係で悩まれている方の場合、親と自分のことしか見えていないことが多いのですが、世の中には美しいものがありますし、本の中にはありとあらゆる世界が広がっています。何か好きなことがあれば、それをやってみることで痛みが軽減することもありますので、お好きなことや楽しいことは積極的にやってみてください。私の知っている方で80代のフラメンコダンサーの方がいらっしゃるのですが、その人は背骨が曲がっていても、フラメンコを踊っています。痛みを受容し、付き合っていくことが一番だと思います。

編集後記

今回の取材では慢性疼痛についてのお話を伺ってきました。慢性疼痛は疾患からくる痛みと心理社会的要因によって痛みを起こしている患者さんがおり、そのことへの周囲の理解も必要だと感じました。取材を受けてくださった小川先生は長年ペインクリニックに関わり痛みを持つ患者さんと向き合って来られました。取材中もにこやかにインタビューを受けてくださりとても穏やかな時間が流れていました。先生は患者さんの痛みを取り除くだけではなく、痛みの原因に何が考えられるかも考え、診察に当たっていることから、痛みに悩む患者さんも安心して受診することができるのではないかと感じました。

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